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悠久の翼と蒼き巫女 第一章 満月の夜 [翻译 2009-07-08 23:29:52]   
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第一章 満月の夜

 

「いやぁ、今回はたっぷりとお宝を頂戴したなぁ」

「当たり前だろう。天下の白虎団頭領の項獣様が本気を出せば、あんなちんけな野盗連中を追い払う事なんざ、チョロいもんだぜ!」

「しっかし、あいつらの顔最高だったな。頭領の迫力にビビって青ざめてたぜ」

「やはり頭領は最高の漢だ!!」

 先ほどから酒を酌み交わし、どんちゃん騒ぎをしながら、ひたすらに自分達の頭領を持ち上げているのは、山賊、白虎団の連中である。

   彼らは山賊とは言え、決して一般庶民や、農民、貧乏人は襲わず、暴利を貪る商人や、賄賂を無心する役人、そして村々を襲撃する野盗を専門に襲っている義賊なのである。

 もっとも、義賊と思っているのは自分達と、豪商や役人などから理不尽な搾取をされていた庶民からだけで、被害の当事者である役人たちからは目の敵にされている。その為に、白虎団頭領の項獣の首には大金の懸賞金がかけられ、項獣自身、狙われる身なのである。

   しかしながら項獣は人並みはずれた体躯と、武芸、そして腕力を持った豪傑で、今まで蹴散らした刺客の数はどれほどなのか、項獣自身も数え切れない。

 「さぁ、頭領も飲みましょうよ」

 原生林が生い茂る山中、樹齢1000年は超えると思えるほどの巨木が林立し、鬱蒼とした緑が、爽やかに晴れ渡る夜空の満天の星々と月明かりを遮る様に生い茂っている。 

  しかし彼らが酒盛りをすることの場所だけは川が流れ、天までそそり立つ様な大きな滝が轟音と共に水しぶきを飛ばしながら大量の水を下流へと押し流していた。その為、周囲はぼんやりと霧がかかった様に煙りつつも、満月の明かりが幻想的に輝いている。

 白虎団の頭領、項獣は一仕事を終えるといつもこの場所に立ち寄り、この滝と森、そして星空を眺めるのが習慣となっている。

  本人曰く、この場所に来ると戦いで高ぶった気持ちが落ち着くのだとか。項獣はその荒々しい言動からは想像できないが、非常に神経が細かい所がある。実際、過去に戦の後の興奮のまま酒場で大暴れして店を全壊させた事がある、その反省からまず戦の後は、気持ちを落ち着くかせる事にしているのである 

  

「頭領も一杯、いかがですが?」

焚き火を囲んで酒盛りをする男衆を炎越しにぼんやりと見つめていた項獣に、側近の李候猛がそっと杯を差し出す。

 「おっ、すまんな」 

物思いに耽っていた項獣は、李候猛の声で突然、現実に引き戻され一瞬、ドキっとしたが、何食わぬ顔で差し出された杯を手にした。

「どうしたんですかい?みんなお祭り騒ぎなのに、頭領だけしんみりというのは、らしくないですぜ」

 勝ち戦の後は決まって大酒をあおり、誰よりも大騒ぎした後に気分を鎮める筈の項獣が、今日に限ってここに到着する前から物静かなので李候猛は心配し、元気付けるつもりで明る振舞う。

  「さぁ、せっかくの勝ち戦ですぜ。いつもの様に騒ぎましょうよ」

 李候猛は、項獣の大きな手に握られた杯に酒をなみなみと注ぎ、自分も持参した杯に酒を注いだ。

 「今日の勝利に乾杯しましょう」

 李候猛はそう言うと、一気に酒を飲み干した。

  「いやぁ、やっぱり戦に勝った後の酒は最高っすねぇ!」

  李候猛は、飲み干した杯手にしたまま、手の甲で口をぬぐう。喉を通過し、胃袋に染み渡っていく酒が体を火照らせていくのを感じながら項獣を見ると、項獣は未だに酒の注がれた杯を手にしたまま微動だたにしない。流石にいつもと明らかに様子が違う頭領の姿に不安をかんじた李候猛は恐る恐る質問する。

 「頭領、何かあったんですかい?」

 李候猛の問いに項獣はしばらく無言であった。嫌、実際にはほんの一瞬だったのであるが、李候猛にはすごく長く感じた。それほどまでに,項獣の様子がおかしく感じたのである。

 すると項獣は突然、手にしていた酒を一気に飲むと杯を目の前の炎に向って投げつけ、大きなため息をついた。

 「戦は空しいなぁ」

 意外な一言であった。まさに人生が戦いそのものだった項獣が戦いに対して空しいと口にしたのである。流石の李候猛もこの言葉には腰を抜かさんばかりに驚いて一瞬、言葉に詰まってしまった。しかしながら、そんあ異常事態を目の前にして黙っているわけにも居られない。

  「と、突然何を言い出すんですか。頭領は戦いの中に生きる漢なんっすよ!いきなり空しいなんて、頭領らしくもない」

 それは李候猛の本音以外の何ものでもない。李候猛は元々、野盗の一員として村々を襲っていたが、その野盗の食料目当てで襲撃してきたのが、白虎団の項獣だったのである。仲間が次々と倒れる中、李候猛は最後の一人になっても勇猛果敢に項獣に戦いを挑んだ。しかしながら,百戦錬磨の項獣の足元にも及ばず、赤子の如く返り討ちにあってしまったのである。負けを認め、観念した李候猛は項獣に命乞いをせず、死を選ぼうとしたが、それを項獣に止められたのである。項獣は、最後まで戦い、男気を貫こうとした李候猛の気質を買って、白虎団に加えたのである。つい先ほどまで命の取り合いをしていた相手を、いとも簡単に同士として迎える項獣のその度量に、李候猛は惚れ込んでしまい、一生、命を懸けて項獣に尽くすことを誓った。それほどに惚れ込んだ勇猛果敢な項獣が突然、

 「戦は空しい」

  と発言したのである。驚いたのは当然だが、それよりも何があったのかと心配の方が強くなり、李候猛は、項獣の顔色を窺う。  

 「確かに俺は今まで戦の中で生きてきた。そして沢山、人の生き死にを見てきた。しかし今回の戦ほど空しい事はなかった」

 項獣は李候猛の顔を見る事なく、燃え盛る炎を見つめながらぼそっと語った。

 「もしかして、あの孤児達の事ですかい?」

 李候猛は項獣が思案している事がうっすらとわかり、じっくり話を聞く事にした。

 「ああ。そうだ。あの村は今までどの野盗も手をつけていなかった。それは、あの孤児院があり、暗黙のままに不可侵の村になっていた筈だ」

「確かに誰が決めたわけでもないですが、あの村はどの野盗も手出しをしない村でしたね」

 「それをあいつらが!」

 項獣はぎゅっと握った拳を震わせた。 

   「さっき頭領が言ってた、獣皇の手の者っすね」

 項獣の言葉に、李候猛の表情も厳しくなる。

  「そうだ!獣皇の奴がとうとう動き出しやかった!!」

 項獣は、手にしていた枝を炎の中に投げつけた。

 「しかし、獣皇と言えば獣人界の支配者。自本達の国を持ち、我々、半獣人界と人間界とは一線を画していた筈。それなのに何故」

 項獣の苛立ちを肌で感じた李候猛は聞き役に徹する。

 「わからん。しかし、あの連中は間違いなく獣皇の息のかかった連中。俺の鼻は絶対だ。あの臭いは背後に獣人がいるに違いない」

 項獣の表情は相変わらず硬い。むしろ、苦虫を潰した様な表情である。

 「しかしそんな連中を我々は追い払ったわけですから」

 そんな項獣に対して、李候猛は少しでも気を紛らわせて貰おうと、自本達の功績を称えた。

 「いや、あの連中は獣皇の甘言に乗せられた単なる野盗に過ぎない。だからあっさり撃退できたが、獣皇や、その手下が本気を出したら俺だって無事には済まない」

 「何言ってるんっすか頭領。この世に頭領に敵う奴なんかいませんぜ」

 いつもは「天下無双の項獣様だ!」と啖呵を切っている項獣をして、無事では済まないと言わしめる獣皇という者の存在に、李候猛は悪寒を感じた。

 

  「まぁ、お前は知らないだろうがな。獣皇の恐ろしさは」

 項獣は相変わらず厳しい表情のままである。

 「頭領、過去に獣皇って奴と何かあったんでしゅかい?」

 正直、獣皇という者の存在を詳しく知らない李候猛は、どうして項獣がこれほどまでに獣皇を意識しているのかわからずに質問する。

 「その事は今はいい。とにかく気がかりなのは孤児院の子供たちだ」

 しかし、項獣からは明確な答えはなかった。

 「。。。。。。それなら大丈夫っすよ。子供たちは安全な場所に避難させましたので当面は大丈夫です。面倒を見させる為に、手下を何人か逗留させていますから」

 「まぁな。だが今考えると、あの野盗は金目のものではなく、明らかに孤児院の襲撃を目的にしていた様に思える。俺達がたまたまあの村を通りかかったから蹴散らしたが、もし俺らがいなかったら全員皆殺しにされていた筈だ」

 「確かに、村の中で孤児院が集中的に襲われていましたからねぇ。やはり孤児院が目的だったんっすかねぇ? でも孤児院なんか襲っても何の得にもならないと思うのですが」

 通常、野盗は金目の物がありそうな屋敷等を襲撃するものであり、孤児院を襲撃しても金になりそうなものはない。襲撃の目的が単なる殺戮だけならありえる話であるが、実際、殺戮だけを楽しむ野盗というのは聞いた事がない。

 「奴らの目的がわからないからイラつくんだ。もし、孤児院の襲撃が目的だったとすると孤児達はまたいつ襲われるとも限らない。そう考えると子供たちを一緒に連れてくるべきだったんじゃないか?」

 「いやぁ、まぁ、そうかもしれませんが、しかしあれだけの孤児をかくまうのは大変っすよ。それでなくてもアジトには、頭領が不憫に思って保護した孤児達が二十人以上居るんっすから、これ以上、しかも十人近くも一気に増えたら養えないっすよ。そうとなったら本当に山賊稼業をしないと飯の食い上げっすよ」

 「だから悩んでいるんじゃないか!」

 項獣は大声で怒鳴る。それは決して李候猛に対して怒鳴ったわけではなく、決断できない自分に対しての苛立ちからであった。しかし、李候猛はというと、頭領の逆鱗に触れたのではないかと恐縮してしまっている。

 「そ、それじゃあ、いつもの頭領らしく考えたらどうっすか?」

 「いつもの俺らしく?」

 項獣は李候猛の言葉に怪訝そうな表情を浮かべる。

 「ええ。まぁ、何とかなるさ。って奴です」

 李候猛は作り笑顔でいつも項獣が口癖にしている言葉を口にした。

 「まぁ、何とかなるさ。かぁ」

 すると、項獣の表情も若干和らいだ。

 「そうです。何とかなりますよ。考えて悩んだら行動あるのみです。後の事はその時に考えれば良いんっすよ。いつも頭領が俺らに言う言葉じゃないっすか」

「もしかすると、お前の飯の量が少ないなるかもしれないぞ」

「腹が減ったら適当に魚でも釣って来ますって。頭領が決めた事なら誰も文句言わないっすよ! 俺たちはみんな、頭領の強さと優しさに惚れて付き従ってるんっすから!」

 李候猛の言葉に偽りはなかった。白虎団に所属している連中はみな、項獣という絶対的な頭領に憧れて付き従っているのである。そしてその中でも李候猛は組織の中で一番、項獣の忠実な側近である自負を持っている。

 「うむ。をれじゃあ決定だな。後になって飯の取り分がすくねぇ。とか言ったらぶん撲るからな」

 「飯で一番文句を言うのは頭領じゃないっすか?」

 李候猛は笑顔で皮肉を言うと、項獣もそれに答える形で微笑んだ。

 「よし。それじゃあ、あのガキ共を迎えに行くか!」

 「はい! いきましょう! 早速野郎共に出立の準備をさせます!」

 李候猛はそう言うと、駆け出していった。すぐに出立といっても五十人以上の手下が居るのである。すでに野営の準備もしていたのでその撤収作業には時間がかかる。

   項獣は立ち上がると川のほとりまでゆっくりと歩を進めた。そして川面に映る自分の顔をみつめた。川面には月明かりに照らされた、白虎の耳と髪を持ち青年の顔があった。そう。項獣は人間ではなく、半獣人という種族なのである。

    社会の全てを人間族が支配しており、獣人族は人間族が誰も近寄らない様な厳しい気候の山岳地帯に追いやられ、それ以来、互いの領土に侵入する事は殆どなかった。

 その中で半獣人族は人間の社会で細々と暮らしているが、半獣人族の社会的地位は低い。当然ながら政治的な場面で活躍する事は殆どなく、その多くは農業や物流に関わって生計を立てている。また、その体に半分、獣人族の血が流れている事から、獣人族との交易を行う者もいる。しかしながら逆に人間族の血も半分流れている事から、獣人族からも反発される事も多く、ある種の閉塞感を感じている者も多い。人間族からも虐げられ、獣人族からも忌み嫌われる。少なからず差別を受ける事もあり、若者の中にはそんな現実から逃げれる為に野に下り、野盗や山賊となり、法を犯す者も少なくない。

 項獣は水面に浮かぶ自分の顔を見ながら、一瞬、人間として生まれたならもっと穏やかな人生を送れたかもしれない。と思ったが、逆に半獣人だからこそ、白虎団の素晴らしい仲間達に巡り会えたのを改めて思うと、半獣人に生まれて良かった。そして誇りに思った。

  しかし項獣には一つだけ、どうしても自分の出生に納得できない点があった。それは、両親が半虎獣人であったにもかかわらず、自分は半白虎獣人として生まれてきた事である。しかも、興奮するとまるで獣人の様に全身が獣の毛で覆われ、顔までも虎になってしまい、その力や五感も普段とは比べ物にならない程に高まるのである。

 普通、半獣人がこの様な獣化をする事はない。項獣自身も獣化する半獣人に会った事などない。もしてや両親も獣化する事などなかった。それを考えると、自分は、両親の実子ではないのかもしれない。という不安が日に日に強くなっていくのを感じたが、両親が他界した今となっては調べる術もない為に、単純に自分は、獣化する能力がある選ばれた半獣人である。と自分に言い聞かせている。

 特殊な能力な為、戦では優位に作用するこの獣化であるが、実は、急に驚いたり、情緒不安定になったりしても獣化してしまうことがあり、時には数日も獣化した状態の時もあったりするのである。獣化は感情の起伏によって引き起こされる事は、項獣自身も理解できたが、獣化してしまう感情の度合いがわからず、それは未だに悩みの種であったりもする。

 「!」

 そんな事を考えていた項獣は、滝の瀑布の中から何か声が聞こえた様な気がした。しかも女性の声だ。最初は空耳かと思ったが、耳の良さには自信がある項獣。もう一度耳を澄ますとやはり女性の声が聞こえた。しかも追い詰められている声だ。しかし、その声の主はどこに居るのか見えない。項獣は虎獣人の属性を受け継いでいるので、闇夜でも視界が利く。しかも今日は満月であり、明るさは十分すぎる。しかし、そんな項獣にも女性の姿が見えない。項獣は、周囲を凝視する。しかし次の瞬間、やっと女性の姿を捉える事ができた。何と女性は滝の上から滝つぼへと落ちてきたのである。

  「うわっ!な、なんだ!?」

 突然の事に驚いた項獣は、自分は水が苦手なのも忘れて無我夢中で滝つぼへと飛び込んだ。しかし、水が嫌いで泳ぎを知らない項獣が滝つぼの激しい渦の中で女性を探し出すどころか自分が水面へ浮かぶことすら困難である

 そんな様子をたまたま見ていた李候猛が慌てて滝つぼへ飛び込み、異変を擦した手下達が次々と滝つぼへ飛び込む。

 「頭領!大丈夫ですが!!」

 「おいっ!こっちだ! 早く来い!」

 項獣は半分溺れながらも、必死に女性の姿を探すが見つからない。流石に息も苦しくなり最後の足掻きでもがいた時に、指先に人の足か腕かわからないが、とにかく肌の感触があり、乱れる渦の中、ぐっと握る。その瞬間、李候猛らをはじめとする数人の手下に浅瀬へと引き上げられた。

 「げほっげほっ!!頭領、泳げないくせに何やってるっすか!!」

 李候猛は、項獣を引き上げるのに水を飲んでしまい、苦しそうにむせた。

 「はぁ、はぁ、すまん。滝つぼに女が落ちたからつい咄嗟に」

  やっと岸に上がった項獣は大の字になって肩で息をする。正直、死ぬかと思ったので安堵の気持ちも大きい。

 「勘弁してくださいよ。そういうのは俺たちに任せてくださいよ」

 李候猛はため息をつきながらも、自分の身を顧みず、女性を助けようとした無鉄砲な項獣が憎めなくて苦笑いする。

 「すまんすまん。とりあえず、女は引き上げたぞ」

 項獣は息を切らせながら、川岸へ寝かせた女性を見る。

 「い、生きてるんっすかねぇ?」

 心配そうに李候猛が女性の顔を覗き込んだ。

 「ああ。息はしているみたいだ。だけど意識がねえなぁ」

 項獣は、女性の口元に耳を当手ると、わずかに呼吸しているのがわかった。

 「でもこの女。。。。」

 「半獣人だな。しかも翼を持ってやがる」

 そう。項獣の言うとおり、この女性は背中を剣で斬られており、間一髪、衣服だけ斬られてそこから背中が露出しているのであるが、その背中に純白の翼が生えているのが見えたのである。

 「翼を持っている半獣人って言えば、妖術を使える一族ってやつっすか?」

 その翼を見た李候猛は息を飲んだ。噂には聞いていたが、翼を持った半獣人は初めて見たからである。李候猛自身も人間の顔に狼の耳と尻尾を持つ、半狼獣人であるが、翼を持った半獣人に比べたらそんなに珍しい種族ではない。

  「正確には陰陽術だな。その術を使って、幽魔と言われる魑魅魍魎を退治するらしい」

 「幽魔なんてジ実体のないものですよね?そんなのがこの世に居るんっすかねぇ?」

 淡々と話す項獣に対して、李候猛はいぶかしげに質問する。

 「さぁ、普通に考えたらそんなものは存在しねぇだろうが、とにかく今は、この女が滝つぼへ落ちてきたという事は、何かただならねぇ事が起きたって事だ」

 「ただならない事っすか。もしかしてヤバい事っすかねぇ?」

 項獣の言葉に李候猛は表情を強張らせる。

 「恐らくまだそのヤバい事が続いてるんだろうぜ!」

 項獣はそういうと、焚き火の近くに置いていた自分専用の武器である、青龍偃月刀を手にするとすばやく立ち上がり、飛んできた矢を切り払った。

 「何者だ!!」

 項獣は滝つぼに向って怒鳴る。それと同時に李候猛や手下達も各々得物を手に戦闘態勢に入る。すると、どこからともなく、黒装束の男が数人現れた。

「大人しくその女を渡せ」

 黒装束の男は冷静な声で必要最小限の言葉を発した。

「突然現れていきなり女を渡せだと? 人に物を頼む態度じゃねぇなぁ」

   項獣は一目見て、この黒装束が只者ではない。いや、むしろ、相当な使い手である事を察した。何よりももの凄い殺気を感じるのである。それ故、こちらも負けじと、精一杯の虚勢を張る。

 「我々に逆らう気か」

 しかし黒装束は相変わらず冷静に冷たい言葉を発する。

 「理由は知らねぇが、女一人さらうのに野郎が数人がかりってぇのが気に食わねぇ」

 項獣は、手にしていた青龍偃月刀を黒装束に向けて威嚇する。

 「あくまで逆らうつもりらしいな」

 「おうよ。この女が欲しいなら力ずくで奪ってみろ!!」

 そう言うと部下に女性を担がせて下がらせた。

 「愚かな」

 黒装束の男は一言発すると、一瞬の内に項獣に襲い掛かる。その速さは常識離れしており、項獣も思わず腰が引きけるほどでなんとか、青龍偃月刀でその攻撃を防ぐのがやっとだった。

 「うおっ!こいつら、やっばり只者じゃねぇぞ!」

 項獣は黒装束の男から次々と繰り出される攻撃を防御するのが精一杯で、こちらから攻撃する隙がない。武芸には相当秀でている項獣をもってしても、この通り防戦一方なのである。手下連中はもっと苦戦を強いられていた。

  「思った以上にこいつら、腕が立ちやがる!」

 項獣は、いつの間にか獣かし、普段の倍近くの力で青龍偃月刀をブンブンと振り回して何とか攻撃を試みようとするが、黒装束の動きが早すぎてろくな攻撃ができない。獣かしたにもかかわらず、まともに攻撃が当たらないのである。

 「ほほう。獣化するとは珍しい奴だ。まだ抵抗する気か?」

 黒装束は相変わらず冷静な声で話す。

 「あったりめぇよ!」

 項獣は青龍偃月刀の中心部を握ると、柄で防御しつつ、刃で攻撃を行う。しかし項獣はだいぶ息が上がってきたのに対し、黒装束は息の一つも切れていない。項獣はそれが気に食わなかった。

 「ならこれでどうだ!」

 項獣は渾身の力で青龍偃月刀を振り下ろした。すると黒装束の男は突然、刀を鞘に収めたかと思うと、高々と跳躍する。

 「馬鹿が!」

 項獣がそんな言葉を口にしたのは当然であった。戦いにおいて跳躍は避けるべきことである。跳躍している時間が多ければ多いほど、身の自由が利かない。これは戦いにおいて致命的な事である。逆に言えば項獣にとって黒装束を仕留める絶好の好機。項獣は青龍偃月刀を手にして黒装束の落下点へ駆け寄りる。

 しかしその時である、跳躍した黒装束の手がぼんやりと光ったかと思うと、次の瞬間、その光が赤い火の玉となり、項獣目がけて一直線に放たれた。

 突然の事に項獣は驚いて足を止めて青龍偃月刀で顔の大きさ程のある火の玉を防ごうとするが、相手は火である。青龍偃月刀で防いでも殆どは項獣の全身を包んでしまった。

 「うわっ!」

 まさか火の気のないところから炎の攻撃をされると思わなかった項獣は、一瞬の内に炎に包まれてしまった。

 「頭領!」

 李候猛は突然に炎に包まれた項獣の姿を見て叫んだ。このままでは項獣が火達磨になって下手をすれぼ焼死してしまう。

 「こなくそっ!」

 しかし項獣は一気合と共に全身を振り払うと、炎は一瞬にして消えた。

 「何だと!?」

 地面に着地した黒装束は感嘆と共に驚きの表情を見せた。

 「こんな火ごときで俺を焼き殺せると思ったか!」

 驚く黒装束に間髪を入れず、項獣は攻撃を繰り出す。不意を食らった黒装束は再び刀を抜いて応じる。

 「一気に畳み掛けるぞ!」

  形勢の逆転した項獣は叫ぶが、手下の様子をで見ると、他の黒装束の放つ謎の火の玉をまともに食らって川へ飛び込んでいる者や、刀で斬り付けられ、負傷している者も出ている状況で、劣勢でいるのには変わりはない。むしろ、かなり追い詰められていると言っても良い状況にまで追い詰められていたのである。

 「くそっ!!こいつらだって半端な武芸者じゃねぇんだぞ!それをここまで追い詰めるとは!」

 項獣は徐々に迫る危機に焦りの色を隠しきれない。

 「頭領、こいつらマジでヤバいっすよ!このままだといくら俺達でも!」

 項獣と背中合わせで敵に立ち向かう李候猛は、ついつい弱気になってしまう。ここまで追い詰められたぎ経験はないからである。

 「弱音を吐くんじゃねぇ!俺達、白虎団の心意気を見せ付けてやれ!!」

 そんな李候猛を察してか、項獣は腹の底から声を出して怒鳴る!

 李候猛が刀を大きく振り回した途端、突然、黒装束の連中の動きがとまった。

 「なんだ!どうした!」

 突然、激しい攻撃が止めんだ事に項獣は肩で息をしながら黒装束たちの出方を探った。正直、このわずかな聞でも呼吸が整えられれば、勝機も見えてくる。逆にあのまま攻撃が続けられたち命も危なかったかもしれない。

  「ふふふ。そうか。貴様らが白虎団か」

 今まで無表情だった黒装束の一人が笑みを見せた。

 「だったら何だ!」

 その笑みが余裕の笑みに見えた項獣は、無性に腹が立って怒鳴る。

 「まさか女を追っていて白虎団に会うとはな」

 「何を訳のわからない事を言ってやがる!」

 「まぁ良い。今日の所は引き上げるが、いずれその女は貰い受ける。それまでせいぜい大切にするが良い」

 黒装束の男たちはその言葉だけを残すと、鬱蒼ちした森の中へ姿を消してしまった。

 「おい!くそっ!待ちやがれ!」

 項獣は後を追おうとしたが、その時既に男たちの姿は消えてしまっていた。

 「くそっ!あいつらはいったいなんだったんだ!」

 李候猛は敵を取り逃げした事に地団駄を踏んだが、正直なところ、引いてくれて助かった。と思った。あのままでは間違いなく全滅していたかもしれないからである。

 「あいつら、俺と同じ様に夜でも目が利いてやがった。おして、あの体躯と運動能力。間違いなく獣人だ」

 その考えは項獣も同様で、決して黒装束の後は追おうとせず、部下に捜索すらさせなかった。負傷者続出でそれどこらではなかったのである。

  「じゅ、獣人って、ここはやつらが入って来られない筈の場所ですぜ!」

 「獣人族が人間界に入って来られない国境線みたいなのがある。と聞いたことがある。だからこそ今まで奴らが人間界を侵略する事がなかった筈だが。。。。。。そいつが破られたか?だとすれば獣皇の手の連中かもしれん。あの村の襲撃といい、何を企んでやがる!獣皇の奴!」

 項獣は、村の襲撃で感じた獣人の臭いが、これだったと察し、これからとんでもないことが起きる予感がして、表情を強張らせた。

 「その事とこの女の事と関係があるんでしょうか?」

 そんな項獣の表情を読み取りながらも、李候猛は女性の事を心配する。

 「それはこの女に聞いてみねぇとわからねぇ。今は意識を失っちゃあいるがな」

 次第に自分の身体から緊張が解けていき、獣化が元に戻っていくのを感じながら、項獣は女性の下へ歩み寄った。

 「ところで頭領、どうして頭領だけはあの火の玉を食らって平気だったんですか?」

 すると、部下の一人が獣化の解けた項獣に素朴な疑問をぶつけてきた。彼らにとって、項獣が獣化したり、元に戻ったりという現象は日常茶飯事なので、いちいち驚きはしない。

 「馬鹿。俺様はお前らと気合が違うんだよ!気合が!」

 それに対して項獣は、この時とばかりに虚勢を張って見せた。

 「へぇ!やっぱり項獣はすげぇや!」

 「うちの頭領は炎も寄せ付けねぇのか!」

 「流石に頭領だよな!」

 盲目的に頭領を英雄視する手下連中は大いに盛り上がったが、李候猛だけは真相を知っていた。項獣が直前に滝つぼへ飛び込んでずぶ濡れになっていた事を。その為に炎が体に燃え移らなかっただけなのだが、あえてそれは口にせず、自分の心に留めるだけにした。

 「いずれにしても奴らはまた襲ってくる筈。ここは早くアジとへ引き上げた方が良いかと」

 項獣の武勇に盛り上がる部下を尻目に、李候猛は項獣に対して早期撤収の助言をする。万が一、またあの黒装束が襲ってきたらここでは勝ち目がない。一旦、態勢を立て直さないと話にならないのである。

 「よし。そうだな。では、半分は俺と一緒に山へ戻るぞ!あとの半分のうち、怪我をしていない者は孤児の所へ行け」

 項獣は、李候猛の助言に従って、撤収命令を出す。しかし、一部は孤児のしたへ向えと命じた。

 「え!?い、今この場面で孤児達の所へですか?」

 それには流石の李候猛も驚いた。どう考えても今は一気に撤収して態勢を立て直すのが先だからである。それでいて、数人とは言え、大事な戦力の一部を孤児の元へ向わせようというのである。流石の李候猛もそれには同意しかねた。

 「ああ。何かあの村に関しては悪い予感がある。用心に越した事はねぇ。とにかく行け!」

 しかし、項獣が頑なに孤児の下へ部下を向わせようとするので、あえて反対はしなかった。それは項獣がモットーにしている、自分の危険を顧みずに弱い者を助ける精神の実践だったからである。

 「それじゃあ、お前ら手下を連れて孤児達の下へ行き、警護をしろ。残りは山へ戻るぞ!怪我している奴等を優先的に騎馬に乗せるんだ!」

 李候猛は、項獣の命令を受けて、自分の手下に指示を出した。しかし、この項獣の指示が後に、大きな展開を迎える事になる事など、李候猛はおろか、命令した項獣自身も想像する事など出来なかった。

 

 

 

 

 

  “哎呀,这次的收获不少嘛”

  “那是当然的,在这天下间,只要白虎团的头领项兽大人一出马,击退像那帮差劲野贼实在是太容易了!”

  “还是他们的表情最棒了,头才刚刚一出手脸色就全变青了”

  “头不愧是纯爷们儿!!”

    从刚才开始互相进酒,一边狂欢一边一个劲的吹捧自己首领的山贼正是白虎团的成员。

    说他们是山贼,但他们决不会袭击普通的平民,农民和贫困的人;而是专门把贪得无厌的商人,索要好处的官员,还有袭击村庄的野贼作为目标的义贼。

    不过,义贼只是他们自己认为的。那些毫不讲理榨取民脂民膏的富商和官员,以及被袭击遭受过损失的官员们视他们为眼中钉。为了消灭他们,出了重金悬赏白虎团头领项兽的首级,因此项兽自己成了被袭击的目标。

    然而项兽是拥有不同于常人的体格,武艺和腕力的豪杰,至今为止,被打发掉的刺客的数量连自己也数不清。

  “来,头也一起来喝吧”

    在原生林丛生的山中,林立着有树龄超过1000年的巨木,郁郁葱葱的绿色,遮住了万里无云的夜空中的满天繁星和月光。

    而他们的酒宴所设的河川边,耸立着巨大得仿佛直达天际的瀑布,水流伴随着轰鸣声和飞溅的水花冲向下游,以至于周围弥漫着烟尘般模糊不清的水雾,在满月的月光下散发着幻想般的光辉。

    白虎团的头领项兽,每结束一件工作就会来到这里,他已经习惯了这里的瀑布和森林,以及在此眺望星空。

    就他本人所说,来这个地方可以使他们在战斗后亢奋的心情回归平静。实际上,在过去战斗之后,由于过于兴奋而大闹酒场,店家遭到破坏的事时有发生。作为反省,从此每次战斗之后就到这里来了。难以想象项兽也有粗中有细的地方。

   “头,再来一杯怎么样?”

    透过跃动的火焰,清楚得看到项兽在篝火边庆祝的人群中,在他旁边的李侯猛正在向他敬酒。

   “哦,抱歉”

    李侯猛的突然出声把正陷于沉思中项兽拉回现实,那一瞬虽然有点恼怒,但还是装着若无其事的样子把杯子伸过去。

   “怎么了?大家都在狂欢庆祝,而头却如此安静,不像平常的你啊”

    每次胜仗之后必喝酒,比谁都会闹腾的项兽,今天在到达这里前就一直很安静,这使得李侯猛有点担心,于是打算让他振作起来。

    “来,好不容易得来的胜利。像以前一样一起庆祝吧。”

    李侯猛给项兽的酒杯中斟满酒,自己也倒了一杯。

    “为今天的胜利干杯”

    说完李侯猛一口气把酒喝干了。

    “呀,打了胜仗之后喝酒果然是最棒的啊!”

    李侯猛拿着喝干的酒杯,用手背擦了下嘴角。酒通过喉咙渗透到胃里,身体有了点发热的感觉,再看看项兽,他的手里依旧拿着盛满酒的杯子没有动。看到跟平常那个开朗的项兽完全相反的样子,李侯猛感到有些 不安,便惶恐的问道。

   “头,到底发生了什么?”

    对于李侯猛的询问项兽暂时的沉默了。不,实际上只有一瞬而已,只是让李侯猛感觉得很长久。项兽的那个样子让他感到很奇怪。

然后项兽突然一口气把喝光杯子里的酒,把它丢到了眼前的火堆里,大大得叹了口气。

  “战斗好空虚啊”

    令人意外的一句话。从整个人生都在战斗的项兽嘴里说出了认为战斗是很空虚的话。就算是李侯猛,听到这样的话也被吓得差点快要瘫倒了,到嘴边的话也说不来了。可是在那样异常的事态面前保持沉默是不行的。

  “这,怎么突然说出这种话来。头是为战斗而生的男子汉!为这样活着而感到空虚,不像头说的话啊”

    这不是李侯猛的真心话又是什么呢?李侯猛原来作为野贼的一员以食粮为目标去袭击村庄,却遇到了白虎团的项兽。同伙一个个被打倒,成为剩下的最后一个的李侯猛勇敢的向项兽发起挑战。然而,他岂是身经百战的项兽的对手,犹如欺负婴儿一样被打倒了。认识到自己失败之后的李侯猛并没有乞求项兽饶命,而是选择了死亡,但却被项兽制止了。对战斗到最后,始终贯彻着自己这种男子汉原则的李侯猛,项兽让他加入了白虎团。刚才还在以命相博得对手,却像对待同伴一样欢迎他,项兽的这种肚量令李侯猛暗自发誓要为他鞠躬尽瘁死而后已。而正是那个令他敬佩的勇猛果断的项兽突然说

  “战斗真空虚啊”

这种话来。会吃惊是当然的,到底发生了什么事,这让李侯猛更加担心了,于是偷偷的望了望项兽的脸色。

  “确实至今为止我是一直生活在战斗中。看多了人的生死,但是并不是这次的战斗让我感到空虚。”

    项兽并没有看着李侯猛的脸,而是对着燃烧着的篝火轻轻地说着。

  “难道是那些孤儿们的事情吗?”

    李侯猛对项兽在担心的事情稍稍有点了解,于是就这样问道。

  “啊啊。是啊。那个村庄至今已不在任何野贼的控制之下。还有那孤儿院也是,看上去平静的村庄却应该是不可侵犯的。”

  “到底是谁干的?任何强盗势力都不会对那座村庄出手的。”

  “是那帮家伙啊!”

    项兽紧紧地握着拳颤抖着。

  “正如头所说,是兽皇的手下人干的”

    项兽的话使李侯猛的表情也变得严肃起来。

  “果然兽皇那家伙到底还是动手了啊!!”

    项兽把手里的树枝丢到火里。

  “但是兽皇说起来也是兽人界的支配着,自己也有自己的国家,同我们半兽人和人类应该是画为一个阵线的,但为什么要那样做呢?”

    听了这番话连皮肤都能感觉到项兽焦虑的李侯猛答道:

  “我知道。可是那些家伙无疑带着兽皇的气息,我的鼻子绝对不会有错。毫无疑问那些气味是兽人背后散发出来的。”

    项兽的表情还是一样的僵硬。更确切地说,是愁眉苦脸的样子。

  “我们追杀的居然是这种家伙。”

    对于那样的项兽,李侯猛为了稍稍转换一下气氛,称赞起他的功绩来。

  “啊,那些只不过是听信兽皇的花言巧语的野贼罢了。那么轻易的就被击退了,要是真的是兽皇手下的人,我们不可能能全身而退。”

  “不管怎么说,头在这世上是没有敌手的。”

    对于一直说项兽是天下无双的,又说出如果兽皇在,我们不可能全身而退这种矛盾的话,让李侯猛自己也感到一阵恶寒。

  “啊,你还不知道兽皇的恐怖吧。”

    项兽还是一如既往的保持着严峻的表情。

  “头过去与兽皇那家伙之间发生过什么事吗?”

    老实说,对于兽皇那样的存在,李侯猛了解的并不详细,为什么项兽对兽皇有如此的认识,这正是他想知道的。

  “那件事今天就到此吧。总之,多担心一下孤儿院的孩子们。”

    可是,项兽并没有明确的回答。

  “。。。。那个倒没有关系。孩子们目前在安全的场所避难。就算出问题,我还预留了几个手下在那边照看。”

  “那就好,现在我们该考虑的是为什么那伙野贼不是以金钱为目的,却是直接冲着孤儿院去的。我们碰巧路过那个村庄把他们打跑了,如果我们不在的话岂不是全村都要遭殃了。”

  “确实,他们是集中起来在攻击孤儿院,果然是以孤儿院为目标吗?但是袭击孤儿院又得不到任何好处。”

    通常野贼是为了得到值钱的东西而去袭击的,而孤儿院既没有钱也没有值钱的东西。袭击的目的只有是单纯的杀戮,事实上,以杀戮为乐的野贼连听都没听说过。

 “不知道那些家伙的目的啊。如果他们攻击孤儿院的目的只是为了袭击孤儿的话,不如我们带上孩子们一起走如何?”

 “不,阿,也许有可能,但是再收养那些孤儿的话就有点不妙了。因为头对他们的同情,在本营里已经收养了20多个孤儿,现在一下子又多了近10个恐怕养不过来。要是那样的话连我们这些山贼都没饭吃了。”

 “这不就是我现在在烦恼的啊!”

项兽大声地怒吼着。但不是冲着李侯猛,而是对下不了决心而焦躁的自己。但是对李侯猛来说,似乎是触犯了头领的逆鳞而惶恐不安。

 “那,那么,头领就像平常那样来考虑如何?”

 “像平时的我那样吗?”

  对李侯猛的话项兽浮现出了惊讶的表情。

 “嗯嗯,船到桥头自然直啊。你这家伙。”

  每次项兽说出这句口头禅的时候,李侯猛都故作笑容。

 “是啊,船到桥头自然直。”

  于是,项兽的表情缓和了一些。

 “就是这样啊。船到桥头自然直。与其为这事想得懊恼,不如先去行动。以后的事以后再去考虑比较好。这不是头常跟我说的话嘛。”

 “如果可以的话,你以后的饭就要少吃点了。”

 “没关系,肚子饿的话我还可以去钓鱼嘛。头领决定的事有谁敢不满的。我和大家是钦佩头领的强大和优秀的品格才追随的。”

李侯猛的话一点不假。白虎团的大家都是把项兽作为绝对的领袖而憧憬追随着他。而这之中,李侯猛是项兽身边最忠实的。

 “嗯,那就这么定了。以后丛我们的伙食里扣一点。既然这么说好了可不要打架噢”

 “只要头领不是第一个站出来表达不满就行。”

  李侯猛笑着讽刺道,对于他的回答项兽抱以微笑。

 “好,那么我们一起去迎接那群小家伙吧。”

 “是!马上去做出发的准备!”

  李侯猛说完就出去了。选了50多个人作为先头部队,因为不管是扎营的准备或拔营都很花时间。

  项兽站起来,慢慢地走到河边。河面倒映着自己的脸,在月光的照射中,是一张有着白虎的耳朵和头发的青年的脸。是的,项兽并不是人类,正是所谓的半兽人的种族。

     

项兽所在的世界中存在着3个种族。首先占了世界大部分的第一势力是人类,继承了野兽之血,喜欢破坏的兽人族,以及由人类和兽人所生的半首人族。

    社会全部是由人类所支配,兽人族被人类赶到了谁都不想靠近的气候严酷的山岳地带。,从那以后,兽人和人类之间互相侵犯领土的事时有发生。

    处在两者之间的半兽人在人类的社会里勉强度日,社会地位很低,所以他们当然不可能活跃在政治场合,多数是以农业和物流相关的行业维持生计。又因为他们身体的一半流着首人的血,也方便与兽人族发生生意上的往来。但是,也因为身上一半的人类血统,被兽人族排斥的事情也常常发生,身处这种尴尬境地而产生了闭塞感的人很多。被人类欺负,被兽人猜忌讨厌。对于遭受了如此不平的对待,年轻人中为了逃避现实而当了野贼或山贼,触犯法律的也不少。

    项兽看着自己倒映在水面上的脸,一瞬间他感到作为人类而出生的话将会有一个平稳的人生。可是自己是半兽人,但回头想想能够邂逅白虎团的这群不错的伙伴们,作为半兽人的人生也不错。于是自豪感油然而生。

     但是唯一件令项兽困扰的事就是关于他的出生。先不管双亲是否是半虎兽人,自己是作为半白虎兽人而生的。而且一旦兴奋起来,不仅会变得像兽人一样全身覆盖着毛,脸也开始像老虎,无论是力量还是五感与常人相比都有很高程度的提高。

    一般来说,半兽人是不能像那样子兽化的。项兽自己也不知道半兽人会兽化什么的事。也许连双亲也不知道。想到这里,他甚至怀疑自己是不是他们亲生的,这种不安的感觉越来越强,而双亲早已逝世,想要调查都没有办法。所以只能单纯的认为,自己刚好是拥有兽化能力的半兽人来说服自己。

    兽化这个特殊能力往往能让他在战斗中取得优势。实际上,受到突然的惊吓,或情绪不安定的状况下也会兽化,有时候好几天一直处于兽化状态的事情也有发生。项兽自己也知道兽化是由于感情起伏引起的,先不管引起兽化临界点的感情程度,现在又出现了件麻烦事情。

  “ !”

   开始还以为听错了,但出于对自己听觉的自信,集中注意力又听了一次,果然是女性的声音。而且是被人追得走投无路的声音。但是却看不见发出这个声音的主人。项兽虽然有继承虎兽人的夜视能力,但在这满月的今天,光线充足的情况下还是看不见。项兽凝视着周围,在下一个瞬间,终于捕捉到了女性的身姿。一个从瀑布上方掉落到瀑布潭里的女性,这是何等的情况。

  “啊! 怎,怎么啦!?”

    突然发生的事让项兽很吃惊,他毫不犹豫的跳入潭中连自己不擅长游泳都忘了。但是对于讨厌水也不懂得游泳还要在湍急的漩涡中搜寻女性的项兽来说,保持自己浮在水面上都很困难。

    无意间看到那个情况的李侯猛慌忙跳入水中,察觉到异变的手下们也一个个往潭里跳去。

  “头!没事吧!!”

  “喂!这边!快过来!”

    项兽被淹个半死,抱着必死的决心搜索着落水女性却没有找到。就在他挣扎着快憋不住的时候,指尖碰到了不知是人的脚还是手,总之是肌肤的触感,于是在慌乱中紧紧握住。那个瞬间,李侯猛和先前入水的几个手下把他们救回了岸边。

  “咳~咳~(咳嗽声)头,不会水下去干嘛!!”

    李侯猛因为下去就项兽喝了不少水,苦着脸抱怨道。

  “啊,啊,对不起。瀑布潭里有个女人掉下去了,所以才。。。”

 

    项兽在岸上摊成“大”字喘着粗气。老实说还以为要死了,现在可以放心了。

  “请原谅我,这种事本应该交给我们就行了。”

李侯猛和下去过的手下们也喘着气,对于不顾自己安危,跳下救那位女性的项兽的鲁莽行为抱以苦笑。

  “抱歉,抱歉,总之,那个女人救上来了吗?”

    项兽咽了口气,看到了躺在岸上的女性。

  “还,还活着吗?”

    李侯猛担心地朝那个女性的脸看去。

  “啊,看上去还有气,不过没有意识。”

    项兽把耳朵凑到女性的嘴边,感觉到了微弱的呼吸。

  “但是这个女人。。。”

  “是半兽人啊,而且还有翅膀。”

    是啊,通过项兽的确认,这个女性的背上衣服被划破了,带着剑伤,而背上还长着一对纯白的翅膀。

  “说起来有翅膀的半兽人,是属于会使用妖术的一族吧?”

    看到那对翅膀,李侯猛吞了口气。他只是从传说中听过,真正看到还是第一次。李侯猛是拥有人脸长着狼耳和尾巴的半兽人,与有翅膀的半兽人相比自己并不是多稀有的种族。

  “正确得说是阴阳术。那个术是用来对付妖魔的。”

  “妖魔是那些没有实体的东西吗?那样的东西在这世上存在吗?”

对于项兽平淡地说出这样的话,李侯猛惊讶的询问道。

  “啊,一般想想那样的东西也不会有,总之现在该考虑的是,到底发生了什么事会使那个女人从瀑布上掉下来。”

  “发生那样的情况,难道不是十分危险的事?”

    项兽的话令李侯猛表情僵硬。

  “恐怕那样危险的事还要继续下去。”

    项兽说着,拿起自己放在篝火边的武器,青龙偃月刀,迅速的站起来砍断了飞来的箭。

  “谁!!”

    项兽朝瀑布谭的方向怒吼着。同一时间李侯猛和手下们已经各自拿起武器进入战斗状态。然后,不知从哪里出来了好几个黑衣人。

  “老实的把那女的交过来。”

    其中的一个黑衣男人冷冷的说道。

  “突然出现就命令我们交出这个女人?这可不是为人处事的态度啊。”

    项兽一看,就觉得这个黑衣人不是泛泛之辈。不,应该是个相当有手段的人,带着非常强烈的杀气。所以我们这边也不能认输,竭尽全力地虚张声势。

  “不听我们的话吗?”

    但是黑衣人还是一如既往的冷冷地说道。

  “不知道你们什么理由,动用那么多人只为了抓一个女人,看着真是不爽啊。”

    项兽手持青龙偃月刀向黑衣人威吓道。

  “看来打算顽抗到底了”

  “呦,想要这个女人就凭本事过来抢啊。”

    说完部下们就把那个女性抬了下去。

  “愚蠢”

    黑衣人说完就向项兽猛扑过来。那个速度脱离常识,项兽也毫不犹豫的把腰一沉,用青龙偃月刀防住了他的攻击。

  “哇!这家伙,果然非同一般。”

    项兽竭尽全力地防御着黑衣人一次次不间断的攻击,自己连反击的空隙都没有。武艺相当优秀的项兽这回却成为了被动防守的一方。而手下的伙伴们也陷入了苦战中。

  “这些家伙的手段比想象的还厉害!”

    项兽不知在何时已经兽化,以数倍于普通时的力量挥舞着青龙偃月刀,但是黑衣人的动作实在是太快了,不管尝试了怎样的攻击都被回避了,尽管已经兽化了,正面攻击却起不了任何效果。

  “喝,还会兽化啊,真是罕见的家伙。还要再抵抗吗?”

    黑衣人一如既往的冷静地说着。

  “当然!”

    项兽握着青龙偃月刀的中心部分,用柄防御,以刃攻击。但是相对于大口喘气的项兽,黑衣人的气息却一点不乱,这令项兽很不爽。

  “那么这招怎么样!”

    项兽以浑身力气挥舞着青龙偃月刀向下劈去。而黑衣男子突然把刀收回鞘里,高高的跃起。

  “傻瓜!”

    项兽会说出这句话是当然的。战斗时虽然可以用跳跃进行回避,但是在空中逗留的时间越长对自身的自由度越不利,这在战斗中是致命的事。反过来说这是项兽击中黑衣人的绝好机会。于是项兽便用青龙偃月刀朝黑衣人的落点砍去。

    但是就在那时,在空中的黑衣人手上清楚地出现了光芒,下个瞬间那光芒转变成了火球,直冲项兽面门投去。

    突发的事件令项兽大吃一惊,赶紧止住刀势,用青龙偃月刀去防有脸那么大的火球,没想到对方居然有这东西。项兽并没有完全防住。

  “哇!”

    原以为对方没有火不可能施展火焰攻击的项兽,一下子全身被火包围了。

  “头!”

    李侯猛看到突然被火包围的项兽大叫起来。那个时候项兽已经烧成了火人了,不小心的话可能会烧死。

  “开玩笑!”

    项兽深吸一口气同时全身一抖,火焰瞬间消失了。

  “这么会这样!?”

    落到地上的黑衣人感叹地同时露出了吃惊的表情。

  “你以为这种程度的火能烧死我吗?”

    在黑衣人吃惊的间隙,项兽向他发起了攻击。冷不防的被项兽这么来一下,黑衣人只能再次拔刀应对。

  “一口气拿下他们!”

    形势逆转后的项兽喊着、侧目向手下们望去。受到其他黑衣人的火攻而跳入河里的,被对方刀砍的,受伤的人员不在少数,劣势并没有改变。甚至可以说是被逼到山穷水尽的地步了。

  “可恶!!这些家伙都不是普通的武人,这样下去的话!”

    这迫近的危机感令项兽已经无法掩饰他那焦虑的神色。

  “头,这些家伙真的很危险!这样下去我们该怎么办!”

    与项兽背对背的李侯猛,渐渐快支持不住了。被人逼到这种境地的经验是从来没有过的。

  “不要示弱!让他见识一下我们白虎团的气势!”

    对李侯猛说完,项兽歇斯底里的发出了一声怒吼!

  “混蛋!”

    李侯猛刚大力挥舞起刀的时候,突然黑衣人们的动作停止了。

  “怎么了!为什么!”

    突然,对方停止了激烈的攻击,项兽趁机调整呼吸一边观察他们的情况。

    老实说,有这个间隙调整呼吸,就有打赢的希望了。相反,如果对方持续那种攻击的话,恐怕有性命之忧了。

  “哈哈哈。这样啊,你们是白虎团。”

    至今为止毫无表情的黑衣人笑了起来。

  “是又怎么样!”

    看着黑衣人居然还有笑的空暇,项兽不禁怒吼起来。

  “想不到追着那个女人会遇到白虎团。”

  “这话是什么意思!”

  “就这样吧。今天到此为止,该日再来抓这个女人。那么保重。”

    黑衣人们留下这句话后,就消失在茂密的森林中。

  “喂!可恶!等等啊!”

    李侯猛见敌人突然走了急得直跺脚,老实说,真是死里逃生了。如果他们继续攻击下去,被全灭都有可能。

  “那些家伙,跟我一样有杰出的夜视能力,而且那体格和运动能力,无疑是兽人。”

    项兽也是这样想的,于是决定不去追赶他们,开始搜索受伤的部下。

  “说起兽人,那帮家伙应该不会来这种地方才是啊。”

  “听说兽人是不允许跨过国境线来人类的地盘的。所以今天那些家伙越界来到这里应该算是侵略了。。。。他们破坏了约定? 如果他们是兽皇的手下,袭击这个村庄又有何企图!兽皇那家伙!”

    项兽从村子被攻击起就感觉到了兽人的气息,通过刚才的经历,预感到从此以后还会发生意外的事,表情就僵硬起来。

  “这件事和那个女人有什么关系吗?”

    注意到项兽的表情,李侯猛担心起那个女性的事来。

  “那个只要问一下这个女人就能明白,不过现在却还没有意识呢。”

    自己的身体慢慢的解除紧张感后,感觉到已经从兽化状态恢复过来的项兽,向那个女性所在之处走去。

  “那个,头,为什么那个火球只有对头您没效果呢?”

    手下有一个人向刚解除兽化的项兽询问。对他们来说,对项兽兽化的事平常的像家常便饭一样,反而一点都不吃惊。

  “笨蛋。本大爷和你们的气势是不同的!气势啊!”

    对于这个问题,项兽虚张声势的回答道。

  “啊!头领果然厉害啊!”

  “连火都伤不了我们的头领!”

  “不愧是头啊!”

    手下们盲目的把项兽视为英雄般大力奉承,只有李侯猛知道真相。项兽之前跳入瀑布谭中救人早已经全身湿透了。所以火球在他身上燃烧不起来,现在这种情况,李侯猛觉得还是留在心底不说为妙。

  “那些家伙早晚还会再来。我们现在还是尽早回总部比较好。”

在奉承项兽英勇的手下们的蔑视下,李侯猛对项兽提出了早点撤军的忠告。万一,那个黑衣人再来袭击我们这边一点胜算都没有。姑且还是回去重整态势比较重要。

  “好,就这么办。但是一半人跟我回山上!另一半没受伤的都到孤儿那边去!”

    项兽采纳了李侯猛的建议,发出了撤退的命令。但是留下了一半人照顾孤儿。

  “咦!?现在这种场合还要去孤儿那边吗?”

    这让睿智的李侯猛也吃惊不少。不管怎么想现在应该以撤回山里重整态势为先阿。那样做虽然只留下一半到孤儿那里,但那部分正是很重要的战力啊。李侯猛也无法同意。

  “哎哎。为什么一牵扯到那个村就有不好的预感。不小心可不行,总之,走吧!”

    对于项兽的顽固而无可奈何。不过这不正实践了他不顾自身安危保护弱者的精神啊。

  “那就这样吧,你和手下去孤儿下榻的地方,好好警备。剩下的跟我回山。马优先让给伤员!”

    李侯猛接受了项兽的命令,指示自己的手下出发。但是,就在项兽发出指示之后,故事迎来了巨大的发展,别说李侯猛,连做出命令的项兽自己也无法想象。

 

第一章完

感觉自己翻的乱糟糟的,先暂停,修行回来后继续。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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